最近、南米・中南米のギター音楽を聴く機会が多い。ブラジルのエイトル・ヴィラ=ロボス、ルイス・ボンファ、ジョアン・ペルナンブーコ 、パラグアイのアグスティン・バリオス、ベネズエラのアントニオ・ラウロ。
きっかけはセバスティアン・イラディエル(1809年 – 1865年)。スパイン・バスクの作曲家で、彼を有名にしたのは「ラ・パロマ」という曲だ。
ウィキで調べてみると、イラディエルは旅先のキューバで「ハバネラ」という音楽と出会い、「ハバネラ」の要素を取り入れて作った「ラ・パロマ」という曲がヨーロッパで大ヒットした。あのビゼーも「カルメン」の中でハバネラを取り入れたほどだという。諸説あるようだが、「ハバネラ」はハイチで生まれた音楽で、植民したフランス人のダンス音楽(源流はイギリス)と黒人のリズムなどが混ざり合ってでき上がったという説が有力のようだ。その後、ハバネラはアルゼンチンで「タンゴ」の誕生に影響を与えた。いわゆるアルゼンチンタンゴはヨーロッパへ逆輸入され「コンチネンタルタンゴ(ヨーロピアンタンゴ)」として大流行し音楽の循環が繰り返される。
ジプシージャズでは、ローゼンバーグトリオが「タンゴ」という曲を取り上げた。スペインの作曲家アルベニス(1860-1909)の代表曲だ。クラシックギターを弾くので若い頃からこの曲を知っていたが、このタンゴはあのタンゴと一緒なのかとずっと疑問だった。このタンゴは「ラ・パロマ」風なのだ。しかし、タイトルは「タンゴ」となっている。さらに、タンゴにはイベリア半島発祥という説もあり、こうなってくると「タンゴ」とは何かとなってくる。ピアソラを聴くようになってから、このタンゴはあのタンゴとかけ離れた音楽という印象が強まり困っていた。
新大陸とヨーロッパ、アフリカ間で起きた音楽の交流の歴史を紐解くと、時代の変化や色々な国や人、物、文化、技術が密接に繋がっっていることがわかる。植民地が与えたフランス革命や産業革命への影響も然りで、変化の原動力には色々なものが影響を与え合っている。「風が吹けば桶屋が儲かる」も原因は三味線と考えると、なんとなくわかった気になるのではないでしょうか。