音楽環境

ジャンゴ・ラインハルトの音楽を聴くと、まず初めに今の音楽と違うという印象を持ちます。1920~30年代当時は、アメリカの芸術・文化が世界を席巻し始めた時代。特にミュージカルや映画で使用される音楽は、基本的にキャッチーで覚えやすい。それに世界恐慌や禁酒法によりアメリカの人々が癒しを求めていたため、自然と大らかな音楽が作られたといわれています。こうした音楽に影響を受けたため、ジャンゴ・ラインハルトの音楽を心地よいと感じるのだと思います。小津安二郎の映画が時代を経ても世界中の映画監督に影響を与えていますが、相通じるものを感じます。
当時、ミュージカルや映画の分野では、その成り立ち故にユダヤ人が活躍しました。当時の有名なユダヤ人音楽家を調べてみました。
ガーシュウィン
ベニー・グッドマン
ジェローム・カーン
(All the Things You Are)
クルト・ヴァイル(マック・ザ・ナイフ)
「ドナドナ」の作曲者ショロム・セクンダ (素敵なあなた)
リチャード・ロジャース (エーデルワイス、My Favorite Things、My Romance)
アーヴィング・バーリン (Puttin’ On the Ritz、ホワイト・クリスマス)
これだけ多いと環境の影響は否定できない。広義のロマ族の中でシンティやマヌーシュと呼ばれる人々は、音楽一家が多く、幼いころから実践的に音楽に親しんでいることから多くの神童を生んできました。
有名どころでは、
‎ブールー・フェレ 1965



ビレリ・ラグレーン 1981



ジミー・ローゼンバーグ。1990


日本の伝統芸能の世界でも幼い頃から英才教育をほどこしますが、才能のある大人が教えるのだからその時点で身に着ける技能の差は大きいです。ただ。その後の音楽人生で個性を発揮できたのは、音楽以外に逃げ場がなかったからだと思うと、過酷な世界です。そんな環境だからこそ生み出せる才能や作品があるのも事実ですね。
ドラド・シュミット親子 1991


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です